狩猟フォーラムに参加してきました

2015/2/8(日)おかやま狩猟フォーラムが開催され、それに参加してきました。

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現在、イノシシやシカなどの野生鳥獣が増加し、人里へ下りて来て人的被害や農林水産業の被害など大変増えており、
また、狩猟者が高齢化・減少しているため、狩猟者、鳥獣管理の担い手の確保を推奨するため開催されました。

「狩猟」自体は、狩猟免許を取得し、狩猟者登録をすれば始められます。ただ、それをするにはどういった知識が情報が必要で、それ以上に「どういった目的」や「動物の命を奪うことについて」など、今回のフォーラムを通じて、しっかり考える機会をもらえたように思います。

 

「捕って、食べて、使って ~命がつなぐ人とくらし~」

谷川 ももこさん

谷川さんは獣医をされており、動物やその生態についてとても詳しく、初めて知る現状が沢山あり、本当に面白いお話でした。

狩猟は、動物の命を奪うものです。
例えば銃猟であれば撃って当たって倒れたイノシシを回収ですが、罠猟の場合、罠に掛かった猪が暴れ回っているところに「止め刺し」をします。その動画も流されました。気軽に考えていた人にとっては、とても見ていられるものではありません。
「狩猟がしてみたい」や「楽しそう」なんて考えでするものではない、としっかり思えるものでした。
田畑が荒らされ農業を中断せざるを得なくなったり、庭にも普通に現れるようになってしまった猪など、人間が生活するために駆除としての狩猟を行う必要があるが、鳥獣だって人間に悪さをしたくて人里に下りて来ているわけではない。
しかし、人間だって殺生がしたくて狩猟をしているわけでもない。
それを踏まえ、頂いた鳥獣たちのいのちを、しっかり頂いて、また谷川さんはその皮を加工して革製品を作るなど、余すところ無く利用する活動もされているとのことでした。

 

狩猟は危険で残酷なもの?

「狩猟」は身近に関わったり深刻な被害を直接受けていない人にとっては、危険で残酷なものであるという認識がほとんどです。
ネットで調べてみても「食べるなら家畜だけで十分だろ」というような内容の批判は多く、「食べるために取っている」という認識の人もおられます。

基本的に狩猟をする者はそれを頂くことが多いですが、それだけでは有りません。谷川さんのように人間の生活のために「駆除」という意味で行う者もいます。

また、儲かるものでもないのでそれを業としている者はほとんどいないかと思います。
ただ、やはり業でない以上、狩猟は“趣味”を越えるものでもではないため、しっかりと命を頂くことについてしっかり考え、行う必要があることをよく考えてから行うべきでしょう。

 

鳥獣被害

イノシシであれば「田畑を荒らす」「人に危害を加える」イメージがありますが、シカは何をするの?悪さをしなさそう。その程度に私も昔思っていました。

シカは、草食動物なので草木を食べています。谷川さんのお話で初めて知りましたが、シカには胃袋が4つあり、一つ目の胃袋で草木を分解する微生物を飼っています。シカも、その微生物を飼うために常に一つ目の胃袋をいっぱいにしておく必要があるそうです。

そのため、もの凄く大量の草木を食べます。シカが大量発生している地域の山には草がなくなり、木の皮を剥いで食べ、草木がなくなれば土から根を掘り出し食べ始めます。
木の皮を剥がれたら木は弱って腐る、売り物にならない。林業をしている人には大変な被害です。
また、根を食べはじめると、土を地に留める力が弱くなり、土砂崩れが起きはじめます。こういった大きな災害にまで繋がる恐れがあるのです。

24年度の農作物被害はなんと約230億円。そのうちシカとイノシシが6割だそうです。

 

まとめ

私はクレー射撃をする目的で猟銃所持許可を進めており、狩猟をする予定はありませんでしたが、今回の狩猟フォーラム、「したい」とかそういうのではなく、「した方がいい」のかな、と思えることが多々ありました。

グラフを見ると、現在の狩猟者はほとんど50代以上、一番多いのが60代〜という現状。
昭和50年に52万人近くいた狩猟者は、23年度で約20万人弱。多分、この20万人、というのは「狩猟免許を持っている・登録をしている」者の数だと思うので、きっと狩猟を行っている者の数はもっと少ないのだと思います。

これでは有害鳥獣が増えるばかり、またここから20年後、60代の10分の1もいない20代が40代になった頃、どれだけの狩猟者がいるのか。このままではどれだけ被害が増えるのか。

人に気軽に「狩猟してみたら?」なんて言えるようなものではありませんが、私も何か貢献できることがないかしら、と少し思いました。

 

おまけ:展示物

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罠や猟銃(模擬銃)、猪肉加工品などの展示がありました。

ほとんどの人が初めて触るものなのであれですが、私が構えてみたらそこにいたおじさんに「あっ、アンタは持ったことがあるな!」と言われました。うれしい。
「僕は○○射撃場の会長だからおいでね」とのこと。行きにくい空気のあの射撃場だっ!所持したら行ってみよっと。

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↑ 上下二連散弾銃の模擬銃。本物を発砲出来ないように加工したもの。銃筒に穴があいています。

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↑ 自動銃の模擬銃。

※写真は一緒に参加した知人に提供頂きました。